毎日の食事に使用する「お箸」。
大陸から日本へお箸の文化が伝来し、お箸が用いられるようになったのは縄文時代からだといわれています。その頃は神様のお供え物をつかむ道具としてピンセットような形のお箸が使われ、弥生時代に調理の道具として使われるようになり、現在の形となったそうです。庶民にもお箸が使われるようになったのは奈良時代以降。それ以来、原材料や装飾も多彩になり、趣向を凝らしたお箸が登場しました。
今回は、江戸時代・明和元(1764)年から宮廷御用達のお箸専門店として約240年間続く「市原平兵衞商店」を訪れました。
お客様一人ひとりにあったお箸を -市原平兵衛商店-
8代目 市原 高様
-どんな種類のお箸があるのですか? 食卓で使うものから調理用、様々な素材からつくったお箸など、バリエーション豊富に揃えています。お客様が一度にたくさんのお箸を見ることができるよう、店内には約400種類の箸を置いています。 -おすすめのお箸を教えてください。 先代である7代目が考案した、希少なすす竹を使う「みやこばし」です。 すす竹は旧家屋の天井裏などに使用されていた竹が、いろりやかまどの煙で煽られ150年程の年月が経つことによって、丈夫で反りにくい素材となったものです。その竹を使用したみやこばしは、とても上品でしかも頑丈でお箸の持ちも良いので、お客様におすすめしております。 -江戸時代から代々お箸の専門店として続いてきた秘訣は? 「一代に一品以上の箸をつくること」 これはうちの家訓です。昔の作品にとらわれることなく、その代ごとに独自の作品をつくること。これが店を代々継ぐ者の使命です。 私は「平安箸」というものを考案しました。 「平安箸」に使用している素材は、育って3年目の京都の竹を使用しています。若い竹は粘り気が強く、弾力性があるんですよ。また手元に漆を塗ることで、漆の触感を味わえるようにしています。 また、これに満足せずに、もっと良いものを追求していきたいと思っています。 -お客様にどんなお箸を購入してほしいですか? その人にあったお箸をお買い求めいただければと思っています。ご夫婦で店へ来られる際に、「あなたはこれね」と奥さんが旦那さんの意見を問わずにお箸を購入しようとする場面によく出くわします。でもせっかくうちにきていただているのだから、手にとってゆっくりと自分に合うお箸を選んでいただきたいんです。 また、どんなお箸を選んでいいか迷っているお客様には、お箸の重さや太さ・柄などのご要望、お箸を持つ手を見せていただき、お客様にあったお箸をご案内しております。 | ![]() ![]() ![]() ![]() |
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